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2025年

■1623年 The Winter's Tale『冬物語』ウィリアム・シェイクスピア


◆シチリア王の嫉妬のせいで周囲の人々が16年を無駄にする話

◆舞台はシチリア、ボヘミア


<主要登場人物>


●父王 リオンティーズ シチリア王
●母妃 ハーマイオニ  
●王子 マミリアス   
●王女 パーディタ   


●夫  アンティゴナス シチリア王家の家来
●妻  ポーリーナ   シチリア王家の侍女


●父王 ポリクシニーズ ボヘミア王
●王子 フロリゼル   


<あらすじ>


シチリア王とボヘミア王は親友、ボヘミア王がシチリアに遊びにくる。
シチリア王はボヘミア王を歓待するが、
ボヘミア王と自分の王妃ハーマイオニが密通しているのではないかと疑い始める。
シチリア王はボヘミア王を毒殺しようとするが、
ボヘミア王はその前に逃れて帰国する。

王は王妃から王子マミリアスを取りあげた上、妊娠中の王妃を投獄する。
王妃は獄中で王女パーディタを出産するが、
王は家来のアンティゴナスに赤ん坊を捨てるように命じる。
赤ん坊を捨てた後アンティゴナスは熊に襲われて死亡する。

王妃の裁判が始まり、アポロの神託により王妃の潔白が証明される。
神託を信じようとしない王は神の怒りに触れ王子は死亡、王妃は自殺する。
さらにアポロから「王女パーディタの消息が分からない限り、王は跡継ぎに恵まれない」と宣言されてしまう。
王女パーディタの行方は捨てに行ったアンティゴナスが死んでいるのでわからない。
(王妃は自殺したということにして侍女ポーリーナが秘かにかくまっている)

16年後のボヘミア、捨てられたパーディタは羊飼いに拾われて羊飼いの娘として成長していた。
ボヘミア王の息子フロリゼル王子はパーディタと恋に落ちるが、
身分違いゆえに父ボヘミア王から別れるように命じられる。
フロリゼルはシチリア王に仲裁してもらおうとパーディタと共にシチリアへ駆け落ちする。
それを追ってボヘミア王もやってきて、シチリア王とボヘミア王が再会して和解、
さらにパーディタが王女と判明して親子も再会する。

侍女ポーリーナが秘かにかくまっていた王妃とシチリア王を対面させる。
王は王妃に詫び、パーディタ王女とフロリゼル王子の結婚も認められ、
夫婦愛・親子愛・友情が復活して大団円。


◆元ネタはロバート・グリーンの『パンドスト』



親友シチリア王を訪問するボヘミア王

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ボヘミア王と妻の不倫を疑うシチリア王

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シチリア王妃をかくまう侍女

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捨てられるシチリア王女パーディタ

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羊飼いの娘として成長したパーディタに恋するボヘミア王子

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パーディタとボヘミア王子の恋に反対するボヘミア王

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シチリア王女と証明されるパーディタ

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生きていたシチリア王妃に謝罪するシチリア王

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■1623年 All's Well That Ends Well『終わりよければすべてよし』ウィリアム・シェイクスピア


◆乙女のストーカー的純愛

◆舞台はフランス、イタリア


<主要登場人物>


●母親 前ロシリオン伯爵夫人
●息子 バートラム 現ロシリオン伯爵

●父  故人    名医 
●娘  ヘレナ   孤児

●母  キャピレット未亡人
●娘  ダイアナ


<あらすじ>


孤児ヘレナはロシリオン伯爵夫人の世話になっており、
その息子バートラムに片思いをしている。
バートラムはフランス国王に仕えるためパリにいるが、
フランス国王は不治の病に苦しんでいた。
ヘレナは名医だった父の薬を持ってパリへ行き、
「失敗したら死を、成功したら望みの配偶者を」という条件で国王に薬を飲ませる。
完治した国王は礼としてヘレナに指輪を与えた上、
ヘレナの希望通りバートラムに結婚を命じる。
しかし身分違いの結婚など考えられないバートラムはヘレナに
「わが指輪を手に入れ、わが子供を身ごもらない限り、結婚は認めない」
という手紙を残してフィレンツェへ逃げる。

ヘレナがフィレンツェへ追って行くと、
バートラムがダイアナという女性に求愛していることを知る。
ヘレナはダイアナとその母親のキャピレット未亡人に事情を話して協力をあおぐ。
女性陣の計画通りダイアナはバートラムを自分の寝室に誘い、
「ベッドインの条件として指輪の交換をしたい」と言う。
こうしてダイアナにはバートラムの指輪が渡り、
バートラムにはダイアナの指輪(実は国王がヘレナに贈った指輪)が渡る。
ベッドインするが、
バートラムが抱いたのもダイアナではなくすり替わったヘレナである。

バートラムがパリに戻って国王の前に行くと、
バートラムのはめている指輪が自分がヘレナに贈った指輪であることを指摘される。
そこにダイアナ母子が、
バートラムの指輪を持ち、バートラムの子を身ごもったヘレナを連れてくる。
負けを認めたバートラムは国王の前でヘレナへの愛を誓う。
国王が「終わりよければすべてよし」と宣言して幕。


◆元ネタは、ボッカッチョの『デカメロン』第3日第9話

◆シェイクスピアの生前には上演された記録がない。

◆名台詞 ヘレナ→ダイアナ母子
「終わりよければすべてよし。終わりこそつねに王冠です。
途中はいかに波風立とうとも、最後がすなわち名誉です」




フランス国王の病気を治すヘレナ

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褒美として片思いのバートラムを選ぶヘレナ

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ヘレナを拒絶するバートラム

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ダイアナに恋するバートラム

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フランス国王の前でヘレナに屈服するバートラム

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■1623年 Cymbeline『シンベリン』ウィリアム・シェイクスピア


◆嫁の自慢もほどほどに

◆舞台はブリテン、イタリアのローマ


<主要登場人物>


●ブリテン王  シンベリン 

●前妻王妃   故人
●王子     グィディーリアス 行方不明
●王子     アーヴィラガス  行方不明
●王女     イモージェン

●後妻王妃   
●後妻の連れ子 クロートン


ポステュマス イモージェンの恋人

●ヤーキモー  イタリア人


<あらすじ>


ブリテン王には2人の王子と1人の王女がいたが、
2人の王子は幼い頃に行方不明になってしまう。
跡継ぎを失った父王は、
後妻王妃の連れ子と王女イモージェンとを結婚させて王位を継がせるつもりでいる。
しかしイモージェンが幼なじみのポステュマスと秘かに結婚したため、
父王は怒りポステュマスを追放する。

イタリアに逃れたポステュマスだったが、あまりにイモージェンの貞節を自慢したため
ヤーキモーという男が俺がお前の奥さんを落としてみせると賭けをもちかける。
ヤーキモーはブリテンに渡り、鞄の中に隠れてイモージェンの寝室に忍び込み、
眠っているイモージェンの胸のホクロを覚え、腕輪を抜き取る。
ヤーキモーはイタリアに戻ってポステュマスに対して、
イモジェンの胸のホクロと腕輪を証拠にして誘惑が成功したと嘘をつく。

絶望したポステュマスはイモージェンを殺すようにブリテンにいる召使に命じるが、
イモージェンの潔白を知っている召使は誤解を解くため
イモージェンに身の安全のため男装をさせポステュマスのいるイタリアに行かせる。
イモージェンはイタリアへ行く途中ウェールズで2人の猟師に助けられるが、
それは生き別れになっていた2人の兄であった。
イモージェンを追ってきた後妻王妃の連れ子クロートンは、
イモージェンを犯そうとして王子たちに殺される。

父王は後妻王妃にそそのかされてローマと戦争を始めるが、
ポステュマスや二人の王子の奮戦によりブリテン軍の勝利に終わる。
息子クロートンの死を知った後妻王妃は絶望し、
裏で糸を引いていたことを告白して狂死する。
父王の前に一同が会し、父王は2人の王子と再会、
イモージェンとポステュマスの結婚も認められて大団円となる。


◆モデルは、ブリテンの伝説の王シンベリン

◆名台詞 死んだと思ったイモージェンに王子達が贈る葬送歌
「恐るるな、夏の暑さも、吹きすさぶ冬の嵐も。
汝、今この世の務めをなし終えて、家路につきぬ」




恋人から疑われるイモージェン

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男装姿で逃亡するイモージェン

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疑いが晴れるイモージェン

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■1623年 Measure for Measure『尺には尺を』ウィリアム・シェイクスピア


◆17世紀ウィーンの遠山の金さん

◆舞台はオーストリアのウィーン


<主要登場人物>


ヴィンセンシオ ウィーン公爵
●アンジェロ   ウィーン公爵代理
●マリアーナ   アンジェロの元恋人


●兄の婚約者   ジュリエット 
●兄       クローディオ 貴族
●妹       イザベラ   修道女


<あらすじ>


ウィーン公爵ヴィンセンシオは、
権力が人をどのように変えるかを観察するという計画を立てる。
公爵は謹厳実直な部下アンジェロに公爵代理としてに政治を任せ、
アンジェロにも秘密にして修道士に扮しておしのびで暮らす。

アンジェロは結婚前に女性を妊娠させた男性は死刑という厳しい法律を復活させる。
貴族クローディオが婚約者ジュリエットを妊娠させたとして逮捕され、
死刑を宣告される。
クローディオの妹イザベラはアンジェロに面会して死刑の取り消しを懇願するが、
アンジェロは自分と寝れば死刑を取り消すと言う。
受け入れられないイザベラはクローディオに死刑しかないと伝える。

兄妹の窮地を知った修道士公爵は計画を練る。
アンジェロの元恋人マリアーナに応援を頼み、イザベラとすり替えてベッドを共にさせる。
また病死した囚人の首をクローディオの物と偽って提出する。
そしてイザベラにアンジェロの暴挙を訴えさせる。
しらばっくれるアンジェロの前に修道士公爵が現われ、素性を明かしてアンジェロの罪を暴く。

アンジェロはマリアーナとの結婚を命じられ、生きているクローディオは無事婚約者と結ばれる。
さらに公爵はイザベラに求婚、イザベラが無言のうちに幕。


◆タイトルは、「目には目を、歯には歯を、尺には尺を」から

◆元ネタは、チンツィオ『百物語』の一作




ウィーン公爵ヴィンセンシオからウィーン公爵代理を任されるアンジェロ

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婚前交渉の罪でアンジェロから死刑を言い渡されるジュリエットの恋人クローディオ

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アンジェロに死刑の取り消しを懇願するクローディオの妹イザベラ

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死刑の取り消しの代わりにイザベラの身体を要求するアンジェロ

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兄妹の苦悩を盗み聞きする修道士に扮した公爵ヴィンセンシオ

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公爵ヴィンセンシオの計画に協力するアンジェロの元恋人マリアーナ

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修道士の扮装を解いてアンジェロを糾弾する公爵ヴィンセンシオ

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■1623年 Macbeth『マクベス』ウィリアム・シェイクスピア

■シェイクスピア四大悲劇の一つ


◆小心者は暗殺に向かない

◆舞台はスコットランド


<主要登場人物>


●父王 ダンカン   スコットランド王
●王子 マルカム
●王子 ドナルベーン


●夫  マクベス   スコットランドの将軍 ダンカン王のイトコ
●妻  マクベス夫人
●幼い息子


●父  バンクォー  スコットランドの将軍 マクベスの友人
●子  フリーアンス


●マクダフ      スコットランドの貴族


<あらすじ>


スコットランドの将軍マクベスと将軍バンクォーは勝ち戦の戦場からの帰り道
3人の魔女に出会う。
3人の魔女はマクベスに
「万歳、コーダーの領主」「万歳、将来の国王」と言い、
バンクォーには「国王にはならないが、国王を生み出す方」と予言する。
すぐにコーダーの領主に任命されたマクベスは予言を信じるようになり、
王の座も自分のものになると思い込む。
マクベス夫人は夫以上に野心を燃やし、
泊まりに来ている国王を暗殺するよう夫をそそのかす。
マクベスは寝室に忍び込んでナイフで王を刺し殺すが、
その時「もう眠りはない、マクベスは眠りを殺した」という幻聴が聞こえる。
動揺したマクベスは凶器のナイフを持ち帰ってしまったため、
代わりにマクベス夫人がその血まみれのナイフを王の寝室に戻しに行く。

父王が何者かに暗殺されたと知った2人の王子は身の安全のため逃亡する。
こうしてマクベスは王座についたが、バンクォーの子孫がいずれ王になる
という予言が気がかりなマクベスはバンクォーも暗殺する。
しかしバンクォーの息子フリーアンスに逃げられたマクベスは、
再び3人の魔女に会いに行き予言をもらう。
3人の魔女は「気をつけるのはマクダフだ。言いたいことはそれだけだ」と言い、
「女が産んだ者などに、マクベスを倒す力はない」と予言する。
安心したマクベスはマクダフの屋敷を襲うが、マクダフに逃げられてしまう。

マクダフは逃れていた2人の王子を立てて反撃を始める。
王子軍に息子を殺されたマクベス夫人は
「ああ、この手は二度ときれいにならないのかしら。まだ血の臭いがする。
ああ、ああ、ああ」と呟きながらさまよい歩くようになり、狂死する。

マクベスの前にマクダフが迫る。
マクベスは「俺の命にはまじないがかかっている。
不死身なのだ、女から産まれた奴に対しては」と宣言するが、
マクダフは「マクダフは女から産まれる前に、
月足らずのまま母の腹を裂いて出てきた(帝王切開)」と言い放つ。
結局マクベスはマクダフに討たれ、王子マルカムが新たなスコットランド王となる。
さらに後世、バンクォーの息子フリーアンスの子孫がスコットランド王となる。


◆モデルは、スコットランド王マクベス

◆名台詞 3人の魔女の言葉
「良いは悪いで、悪いは良い」
「きれいは汚い、汚いはきれい」と訳される場合もある。




マクベス

4000



マクベス夫人

5000



第1の犠牲者 マクベスのイトコ スコットランド王ダンカン

1000



第2の犠牲者 マクベスの友人 スコットランド将軍バンクォー

2000



第3の犠牲者 スコットランド貴族マクダフの妻子

3000



発狂するマクベス夫人

6000

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